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まずは、弁護士を目指されたきっかけから教えてください。

櫻井:
きっかけは、「キレる17歳」です。
私が多感な高校生のころ、マスコミを中心に、そんなフレーズがはやっていました。
私と同じ世代の少年が起こした犯罪を、ひとくくりに説明しようとしていたんですね。
しかし、彼らなりに異なった理由があるはずで、17歳であること自体は原因じゃない。
「もっとボクたちを見つめてくれ」「ぞんざいに扱うな」という不満を感じたことが、この道へ進んだきっかけです。

その不満とは、不公平感のようなものですか?

櫻井:
若者への不公平感というよりも、テレビで話している専門家やコメンテーターが持つ不公平感ですね。
考えてみれば、そのような方々の中にも学生運動を通じて、少なからず反社会的な行動を取っていた方はいたはずなんです。その人たちから「切れやすい」と言われても、何か違いますよね。

同じ世代同士なら、受け止められると?

櫻井:
というよりも、「本質を見る」必要性を感じました。何かを説明するときには、1つのフレームに当てはめた方が簡単なんです。
また17歳、だから17歳、つまり17歳とは・・・みたいな論法で。
でも、それって乱暴じゃないですか。現実は、もっと複雑ですよね。

現実を浮き彫りにするには、下からの目線が必要ということですか?

櫻井:
上も下も、前も後ろも、横もナナメも必要です。私は決して優等生ではありませんでしたから、普通の観点、つまり「下」「前」からの目線は持っていたように思います。
弁護士としての知見は、どちらかというと「上」「後ろ」からになるでしょう。
さらに、日ごろから考えていること、影響を受けたこと、今までの人生での経験などもふまえ、全方位からの見方が必要なのではないでしょうか。

その見方を、どのように弁護士の活動へ反映しているのでしょうか?

櫻井:
ご依頼者が比較できるよう、複数のプランをご提示しています。
皆さん、ランチを食べたり洋服を買ったりするときに、比較をしますよね。
弁護士の業務も同じこと。今起きているトラブルの原因は決して1つではないでしょうし、何が正解かなんて人それぞれ。それが決められるのはご本人だけです。

逆に、弁護士の位置づけが、見えづらいような気がします。

櫻井:
「専門家に答えを求めるという発想」から、いったん離れてみてください。
それをしている限り、「キレる17歳」の矛盾が繰り返されてしまいます。
もちろんアドバイスはいたしますが、それよりも、専門家を使いこなすべきだと思います。
たとえば、食堂で「おすすめのメニューはどれですか」と聞いたときに答えを聞いてからそれにするかどうか選びますよね。もちろん他のメニューも見比べながら。そしてどれが食べたいかを決める。
弁護士からのアドバイスも同じように、おすすめのメニュー(弁護士の答え)だけでなくすべてのメニュー(他に考えられる答え)を見た上で、どれを注文し食べるか(どの手段を取りどういう結果を求めるか)を決めていただきたいと考えています。

ついでに、各メニューのメリットとデメリットを挙げよ、といった感じですか?

櫻井:
その通りです。「このメニューを食べなさい。」などと言うつもりはありません。
ですから、私は「先生」ではないですよ。
また、そう思ってほしくもない。なぜなら、先生だと注文できずに言うことを聞かないといけないじゃないですか。
もちろん、汗をかいた分の費用はいただきますが、それが本来の正しい関係なのではないでしょうか。

最後に、読者へのメッセージを。

櫻井:
いろいろと申しましたが、基本は、「お気軽に話しかけてください」に尽きます。
お話を良く聴き、遮ったり否定したりすることはありません。
そうしたやりとりのなかで、自然に笑顔が出てくるといいですね。
胸のつかえが取れたとか、希望が湧いてきたとか、やっぱり自分が正しかったんだとか。
その笑顔は、私にとっても、「信頼されてきたのかな」という自信になります。
お互いにフラットな立場で、一緒にゴールを目指しましょう。